悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。


 鍋に水と油と塩と砂糖を入れて、火にかけながら混ぜていく。沸騰したら小麦粉をふるっていれる。
 ヘラでよく練って、ひとまとまりになったら火からおろす。

「わ、だんだん香りがシュークリームっぽくなってきた! まだ食べちゃダメ?」
「だめよ」

 さっきの分けていた卵白と、新しくたまごを追加で入れて混ぜる。滑らかになったらあとは焼くだけ。

 焼き菓子を作るときにも使う鉄板に生地を少しずつ落として、石窯で焼く。

 焼けるのを待つ間も、コリンが椅子に座って足を揺らして鼻歌を歌う。

「ずっと歌っているけど、それ何の曲?」
「曲名は知らないわ。お母さんがよく歌っていたからあたしも覚えただけだもの」

 無邪気に笑うコリン、前世でもこんな感じで自由気ままな子だったんだろう。

「あ、焼けたんじゃない、クリティア。すっごくいい香り!」

 窯から生地を取り出して粗熱が取れるのを待つ。しっかり膨らんでいておいしそうだ。
 冷蔵庫を見れば、クリームもいい感じに落ち着いている。

 半分に切ってクリームを入れて、いただきます。

「おいしい! サクサクで、クリームが甘くて。ありがとうクリティア。お母さんと食べたシュークリームみたい」
「喜んでもらえてよかった。またいつでも遊びに来なさいな。元の世界の話をできる相手ってなかなかいないから」
「もちろんよ。次に来るときはお礼の品とお土産をたんまりもってくるわ! だからまた作ってね」 

 口のまわりをシュー生地の欠片とクリームでべたべたにしながら、コリンはとてもうれしそうに笑った。