悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「いただきます」

 口をつけた瞬間電流が走ったような感覚を覚える。

 ウローンティーは烏龍茶だ。

 ここがどこの乙女ゲームだかマンガだか知らないけれど、ありがとう開発者。

 中途半端に現実世界要素を入れてくれて感謝の極みだ。

「すごく美味しいです」

「気に入っていただけて良かったですわ。お姉様が料理研究をはじめたと聞いたものですから」

「もうミラ様の耳に入ったのね。そうだわ、ミラ様にも焼き鳥を食べていただきましょう。感想を聞きたいわ」

 ジーニャが焼き鳥を持ってきてくれる。

 あれから毎日夕食のメニューに入れてもらっているから、日に日に焼き方の腕が上がっている。

 うちの料理人、異世界で焼き鳥屋を開けるよ。

 ミラは生まれて初めて見る焼き鳥を、しげしげと観察する。

「これがヤキトリ。カトラリーを使わずに食べられるようになっていますのね」

「このように、横に持ってがぶりとかぶりつきます」

 お手本に一本食べてみせると、ミラは恐る恐る口をつけて、顔をほころばせる。

「美味しい! とり肉はソースをかけなくてもこんなに美味しいんですね」