悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

 本日はミラが遊びに来た。

 異国の茶葉が届いたからおすそ分けということで。

 伯爵令嬢なのに、家格が下の子爵令嬢の私に対しても隔てなく接してくれるのは、ご両親と使用人たちが愛情深く育てたからかな。

 それに加えて本人の気質が良い。

 創作物の愛され主人公って、ミラみたいな子のことをいうんだろう。
 
 いまだに慣れないきらびやかな部屋で、ミラと向かい合って座る。

「どうぞご賞味くださいませ、お姉様。東方から取り寄せたウローンティーというものですわ」

「ありがとう、ミラ様。いい香りね。ジーニャ、淹れてちょうだい」

 侍女ジーニャは小さな缶を受け取って下がり、ほどなくしていれたお茶を運んでくる。

 静かにテーブルに並べられるお茶。

 茶菓子にドライフルーツも添えてくれる。

 いたれりつくせりの扱いに未だ慣れない。

 ウローンってこの世界の産地ってやつかな。

 考えてみたら地球と同じダージリンだのアッサムだの言う地名があるわけもないか。

 お茶の色は紅茶より濃いめ。香りは……なんか知ってる。初めて見たはずなのに。