悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。


 みんなにはお茶を飲んで待っていてもらう。何も言わずともみんなにお茶を出してくれるジーニャ、できた侍女だわ。

 私とミゲルで調理場に立ち、コロッケ作りに取り掛かる。
 ジャージの袖をまくりあげて、包丁を手に芋の皮むきをはじめる。

「私はマッシュポテトを作るから、ミゲルはひき肉と玉ねぎを炒めてくれる?」
「おっけー」

 ミゲルは鼻歌交じりに玉ねぎをみじん切りにしていく。

「おれさ、部活帰りに友だちと惣菜屋に行くの好きだったな。おれはもっぱらからあげだったけど、コロッケもたまに食ってた。友だちはアジフライ一択だったし」
「わかるー。美味いよね、学校帰りの買い食い。私は肉屋でコロッケ買うか、おばあちゃん家に行ってうどん食べてた。おばあちゃんが手打ちうどん屋でさ」

 前世の年齢は10歳くらい離れているようだけど、こういう話題って年齢関係なく楽しい。

 どこの家の犬が吠えるから道を変えて帰ったとか、寄り道でゲームセンターに行ったとか。

 雑談している間に芋が茹で上がった。マッシャーがないからコップのお尻でつぶして塩をひとつまみ。

「よし。ミゲル、炒めた玉ねぎとひき肉をここに入れて」
「おっけー」

 マッシュポテトにひき肉と玉ねぎを入れて、混ぜこむ。

「私は衣を用意するから、コロッケの形にしてくれる?」
「小判型ね。あちちち」
「やけどしないように気をつけて」
「わかった」

 子どもの手だから、ほどよいサイズの小判型が皿に並ぶ。  

 小麦粉をつけてとき卵にくぐらせ、さらにパン粉をまぶしたら揚げる。

 屋台で立ち食い形式になる前提だから、紙を折って揚げ物袋を作った。


「できたわ! コロッケ!」
「おれは頑張ったからおれの分3つね!」
「いいわよ」
「やりぃ!!!! はぐ、むぐむぐ。うめー!! おれ料理の才能ある!」

 前世以来のコロッケで、ミゲルのテンションが高い。

 ミラが興味津々でかぶりつく。

「これがコロッケ。衣は串かつと同じなのですわね。はふ。あちち、ホクホクですわ!!」
「はふ、はふ、お芋はスープやフライドポテト以外でも美味しいんですのね」

 ヨイも顔がほころんでいる。この国でポテト料理というと、ポトフやフライドポテトが主。

「美味い……」