悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「なら俺は何をしようか、姉上」

「クロムはミラ様とヨイ様が作りやすいよう、サポートをお願いするわ」

「わかった。陛下とお妃様をおもてなしできるよう、尽力しよう」

 最近のクロムは、「料理は使用人の仕事。俺たち貴族がすることじゃない」なんてことはもう言わない。いい傾向だ。

「クリティア様は何を作るんですか。焼き鳥? それとも串かつ?」

「私はコロッケを作ろうと思います」

「お姉様。コロッケ、というのも女神様からの啓示かしら?」
「そうです。これから作るから、みんなの感想を聞きたいわ」

 啓示というか私が食べたいし、食べてもらいたいだけである。
 手軽に食べ歩きできて、美味しい日本のテイクアウトグルメといえばこれだ。
 高校の帰り道。肉屋のコロッケを買って店の前のベンチに座って食べるのが日課だった。

 店のおばちゃんや近所のおばあちゃんと他愛ないおしゃべりする、あの空気感がたまらなく良かった。

「いいなー! ねぇねぇクリティア。おれ、コロッケ作るの手伝う! だからおれのを多めに作って!」

「そうね。サポートはミゲルに頼むわ」

 コロッケを知っている人間になら任せやすい。