悪役令嬢に転生した干物女は酒の肴を食べたい。

「子爵令嬢クリティア・フローレンス! 僕はこちらの伯爵令嬢ミラ・ミーティアと婚約する。君との婚約は今日を持って終わりだ。僕とミラの仲を割かないでくれっ!!!!」

 コミケから脱走してきたみたいなファンタジーコスプレ衣装のあんちゃんが、私を指差しながら宣言した。

 コスプレ男は金髪碧眼美少女の肩を抱いている。

 君のハニーはすごく嫌そうな顔をしてあんたを見ているけど大丈夫かい、コスプレのあんちゃん。

「クリティア、僕がミラと話そうとするたびに君は止めに入ってきた。それも今日までさ。僕とミラの愛は誰にも止められないんだ!」

 誰だこいつ。

 私は栗田玲奈《くりたれな》。35歳。

 クリティカルなんちゃらという名前じゃない。

 ついでに言うなら金なし胸なし彼氏なしの三拍子揃った干物だ。

 風呂あがりに梅チューハイとカルパスで腹を満たして野球を見る。

 休日は食料買う以外昼近くまで寝てる。

 そんなキングオブ干物の私が誰と婚約していたと言うのだろうか。