初田ハートクリニックの法度

「わたし、びょうき、なの?」

「少なくとも、学業に支障が出るくらいの頻度で日中眠りに落ちるのは正常な状態ではない。わたしの務めている総合病院なら都合をつけやすい。今からでも検査の申し込みを」

「冗談じゃない。検査ってお金がかかるんでしょう。そんなお金うちにはないわよ」

 精密検査が必要だと聞かされて第一声が金の心配。

 初田は内心で溜息をつく。

「高校生になったばかりと言うことは、十五、六才でしょう? 放置したら間違いなく悪化するでしょうね。呼吸器系の疾患だった場合、命に関わることもあるんですよ」

「あなた若いし、どうせ研修医か実習生でしょ。見立て違いに決まっているわ。無駄に検査でお金が飛ぶだけだわ」

 言い争いに近い言葉のやりとりで、参列していた親類たちが騒然としている。