初田ハートクリニックの法度

 ネルから渡されたカルテの情報は、固定電話の情報を二重線で消されたあと、礼美とコウキの携帯電話番号が記載されていた。

「さすが若い子は使いこなすのが早いね。まだ買ってからひと月経っていないだろう?」

「母さんが、困ったときのためにって買ってくれた。母さんも同じのを持ってるよ。試しに家の外で電話してみたら本当に声が聞こえるから驚いた」

「ふふふ。携帯電話は海外でも通じるんだよ。いつか試してみるといい」

 新しいことにふれるたび、コウキの表情は豊かになっている。

 このまま礼美と二人三脚で治療を続けていけば、数年で同年代の少年たちと変わらない生活を送れるようになるだろう。