初田ハートクリニックの法度

「好きなタルトがわからない」

「なら買い物しながら一緒に考えましょう」

 ここ最近秀樹は家に帰ってこないから、秀樹の目がないなら大丈夫だと考えてのことだ。

 断る理由がとくにないから、コウキは買い物につきあうことにした。

 お目当てのタルト型は直径五センチくらいで、具なしタルトが九つ入っている。

 これを二セット、持っているかごに入れる。

 それからいちごにオレンジなどのいろんなカットフルーツが入ったお得パックと、カスタードクリームミックス。

 コウキはアリスの絵本にタルトが出てきたことを思い出し、ジャムの棚を見て礼美に聞いてみる。

「あれは乗せて大丈夫なもの?」

「ええ。大丈夫よ。ジャムのタルトも作ってみる? あまったらヨーグルトを食べるときに使えばいいし」

 ブルーベリージャムといちごジャムを買うことにした。

 左胸が熱くなる。

 これは楽しいこと。

「そうだ。コウキ。これからもお料理をするならコウキのエプロンも買いましょう」

「……わかった」