初田ハートクリニックの法度

 物心ついた頃からずっと、コウキは独りだった。

 学校帰りは塾に直行。

 ランドセルを放り出して公園を走るクラスメートの輪にまじったことがなかった。

 物心ついた頃からずっと、コウキは疑問だった。

 ただ父親に命令されるまま勉強する日々に、意味はあるのか。

 だって、塾に行かなくてもコウキと同じくらいの成績を取れる子はいたし、その子たちはいつも楽しそうだった。

 コウキはジャングルジムに上ったことがない。

 シーソーをこいだこともない。

 輪になってはしゃぐクラスメートたちを横目に、ただ毎日のルーチン、塾に向かっていた。