初田ハートクリニックの法度

 週末になり、初田は予約時間通り中村家に向かった。

 県内でそこそこ大きな駅、そこから徒歩二十分の住宅街にある。

 秀樹が乗り込んできたことを伝えると、礼美は土下座せんばかりの勢いで謝った。

「ご迷惑をおかけしてすみません! まさか先生にそんな失礼なまねをするなんて……」

「いえ。気にしてませんよ。乗り込んできてくれたおかげで、中村さんが治療方針を一切理解していないのがわかりました。大変ですね、聞き分けのない子どもが家にいると」

 歌うような声音で言う初田に、礼美は肩を落としたまま「すみません」と繰り返す。

 気にしていないという言葉の通り、初田はさっさと話題を切り替えた。

「それでは日記を見せてもらおうかな。コウキくん、この一週間なにか特別なことはあったかな。気分が落ち込んで眠れないとか、食欲がなくなったとか、生活する中で気づいたことがあればなんでも教えてほしい」

 前回と同じように、まずは礼美に離席してもらい、コウキの話を聞く。