午後七時。
礼美は自宅電話の前に椅子を置き、受話器を手に取る。
この時間なら電話に出られることを、十数年の夫婦生活で覚えていた。
秀樹は勤務時間中に電話をされることを嫌う。
コウキが四才の頃、秀樹の休憩時間に電話をしたら「くだらないことで電話をしてくるな!」と、ひどく怒鳴られた。
コウキが熱を出したから病院に連れていきたい。
保険証は秀樹が持っているからコピーをFAXで送ってほしい……という用件が秀樹の中では“くだらないこと”に分類される。
それ以来、コウキの保険証は礼美が持つようになった。
八回コールしても出ない。
ビジネスホテルに泊まると言っていたから、夕食中、もしくはシャワーを浴びているのかもしれない。
そう考え、十分後にもう一度かけてみたけれど出なかった。
三回目をかけるかどうか、迷ってしまう。
会話はキャッチボールというけれど、秀樹との話は一方的に暴言を投げつけられるドッジボールと化す。
それもただのボールではなく、剣山のような棘だらけの鉄球だ。
礼美は自宅電話の前に椅子を置き、受話器を手に取る。
この時間なら電話に出られることを、十数年の夫婦生活で覚えていた。
秀樹は勤務時間中に電話をされることを嫌う。
コウキが四才の頃、秀樹の休憩時間に電話をしたら「くだらないことで電話をしてくるな!」と、ひどく怒鳴られた。
コウキが熱を出したから病院に連れていきたい。
保険証は秀樹が持っているからコピーをFAXで送ってほしい……という用件が秀樹の中では“くだらないこと”に分類される。
それ以来、コウキの保険証は礼美が持つようになった。
八回コールしても出ない。
ビジネスホテルに泊まると言っていたから、夕食中、もしくはシャワーを浴びているのかもしれない。
そう考え、十分後にもう一度かけてみたけれど出なかった。
三回目をかけるかどうか、迷ってしまう。
会話はキャッチボールというけれど、秀樹との話は一方的に暴言を投げつけられるドッジボールと化す。
それもただのボールではなく、剣山のような棘だらけの鉄球だ。


