初田ハートクリニックの法度

 昼休みになり、平也はまた昼寝場所を探して校内を歩いていた。

 廊下で昨日の五人組のうちの男三人と出くわし、足早に詰め寄ってきた。

「昨日はよくもやりやがったな。お前のせいで腕と顔を五針縫ったんだぞ」

 無視して廊下を歩き続ける。

 あえて教員室の前を通るルートで玄関に向かうと、教師の目を気にしてかついてこなくなった。

 次問題を起こしたら停学一週間だと言い渡されているらしい。
 
 校庭は日当たりがよく、桜の木が何本も植えられていてほどよく日陰がある。

 桜の下に歩いて行くと、白兎が歩み寄ってきた。

「なんか用か?」

「あの、これ、昨日のお礼……」

 下を向いてどもりながら差し出してきたのは、第二玄関前の自動販売機で売られている缶飲料だ。

 アイスレモンティーは外気との温度差で、缶の表面が湿り気を帯びている。