初田ハートクリニックの法度

 翌日。

 担任に進路希望調査票を提出すると、担任は大喜びだった。

「そうかそうか、嘉神は医者になりたいのか。何科の医師になるのかはもう決めているのか?」

 精神科医だけはない、と頭の中で除外する。

 どうせなら初斗と全く関係のない科。

 昨日生徒をナイフで切りつけたときの高揚感を思い出す。

 すごく楽しかった。

 またやりたい。

 外科医なら、手術というきちんとした理由で人を切ることができる。

 人を切って金をもらえる仕事はどれだけ楽しいだろうか。

「外科医」

「おお、そうかそうか。嘉神は成績優秀だから、今のまま学力を維持すれば推薦もいけるだろう」

 平也が外科医だと言った理由などつゆ知らず、担任は我がことのように喜んでいる。

 学力と授業態度だけで判断すれば、平也は立派な医者志望に見える生徒だった。