初田ハートクリニックの法度

 平也は比較されることが嫌いだ。

 その比較対象が、この世で一番嫌いな相手、初斗なのだから声がとげとげしくなるのは仕方のない話。

 ぐだぐだ説教されるのが面倒くさくて、平也はてきとうに思いついた都内の医大の名前をいくつか進路希望調査票に殴り書きして、廉也に叩きつけた。

「なら、俺も医大に行く。それでいいだろ」

「なんだその言い草は。真面目に医師を目指している人間に悪いと思わないのか」

「決めろって言ったから決めたのに、なにが不満なんだ。めんどくせえ」

 廉也も言い争う時間が無駄だと思ったのか、舌打ちした後足早にキッチンに行ってしまった。

 平也は買い置きしてあった栄養補助クッキーだけ食べてまた寝る。