初田ハートクリニックの法度


「あ、あの、あぶないです、さからったら、あなたも」

 震えて泣いていた女子が、平也にそんなことを言う。

「なんだ。普通のやつならここで大人しく金を差し出すのか。普通の人間って大変なんだな」

 踊り場に降りた平也に、他の二人の男子が掴みかかってきた。

「普通だの馬鹿だの、さっきから聞いてりゃなめやがって! お前ら、見張っとけ。コイツしめなきゃ気が済まねえ!」

「おっけ。おい白兎(しろうさ)あんたセンコーにチクったらどうなるかわかってるよね」

 金髪ピアスの女子が、黒髪お下げの女子の髪を掴んで笑う。

 三年の名札をつけた、白兎と呼ばれた女子は震えてなにもいえなくなっている。

 平也は胸ぐらを掴まれたまま芥川、そしてその子分であろう粕田(かすだ)(いぬい)をみやる。

「なあ。俺、普通が分からないから聞くんだけど、これって楽しいのか? そこのチビいたぶるみたいなの」

「楽しいからやってんだよ。いいとこの娘だから金たんまり持っているしな」