初田ハートクリニックの法度

「それではまた来週。コウキくん。自由にすることが思いつかなかったら、うちのクリニックの近くにある植物園に行ってごらん。小さい秋を見つけるのは楽しいよ」

「秋? 季節なんて目に見えないんじゃ」

「季節は消えたチェシャ猫と同じでね、見ようと思わなければ見えないのさ」

 予約表に次回の診療予約を書き込んで、初田は中村家をあとにする。

 状況が快方に向かうかどうかは、初田の補佐、コウキ本人の意志と家族の協力にかかっている。