初田ハートクリニックの法度


 

 事故のあとから書き始めたブログには、たくさんの応援、励ましのコメントが届いている。
 リナと同じように事故で大怪我をして、リハビリで苦しんでいる女性もいた。
 SNSの初期から応援してくれていたファンも、ブログを読んでよくコメントをくれる。
 こうして離れていてもだれかがリナを必要として、見守っていてくれるとわかるから、安心して前に進める。

 叶うなら、新しいものを探すなんていう逃げ道を作らず、モデルの道を突き進みたい。

 誰に強要されたわけでもない。
 モデルの仕事が好きだから。

 若者向けのファッションだけでなく、ミセス向けの雑誌も多く存在する。実力が伴うなら何年でも続けられるのがモデルだ。それに、いつかは後身を育てる仕事もしてみたい。

「わたしの知り合いに、あなたの大ファンだという女性がいましてね。その方から、あなたがモデルに復帰するつもりなのだと聞いています。「事故に遭っても諦めない、強いところ尊敬します」と言っていました。その方は、SNSだとクローバーという名前だそうですが」
「覚えているわ。毎日コメントをくれる子だから」

 クローバーはリナがSNSを始めたばかりの時からずっと、明るく優しいコメントをくれる人だ。
 会ったことはないけれど、本人もとても快活な人なんだろうと想像できる。
 リナが事故に遭ったときも、だれより先に心配といたわりのメッセージをくれた。

 彼女の兄も初田の患者だということで、嘉神平也捜索のお願い投稿をしたときもすぐにメッセージをくれた。

「ああそうだ。あなた、ワンダーウォーカーの店長と旧知なんでしょう」
「ええ」
「なら伝えてちょうだい。私は必ずモデルに戻って、本物になってみせる。周りを輝かせる本物に。出禁にしたこと後悔させてあげる」