初田ハートクリニックの法度

 刑期を終え出所しても、平也には保護観察がつく。

 一生監視される生活が続く。

 自分がやったことへのオトシマエ。

 今更考えたところで現実は変わらないが、ふと思う。

(初斗みたいに誰かを信じていたなら、俺はあっち側にいたんだろうか。そのままでいいと言って隣に並ぶ奴がいたなら)

「らしくねえな」

 かぶりを振り、平也も面会室を出る。

 生き方なんて、いつか刑期を終えたときに考えればいい話だ。

 年齢を考えると、そのとき母はもうこの世にいないのだろう。

 血のつながりを持つものは弟だけになる。

 初田の性格を考えると、出所するまで毎月会いに来るのではないか。

 平也がいくら来るなと言っても聞かず、自分勝手に会いに来る。

 平也は言葉にならない気持ちを胸に、歩き出した。


 閑話7 鏡映しの生き方 終