初田ハートクリニックの法度

「アリスさん。恋人が欲しいなら、うちの兄貴なんてどう? 就職決まったばかりだから収入面はまだ不安定だけど、人となりは保証するよ」

 ナナが端っこでお茶を飲んでいた虎門を引っ張ってくる。

 いきなり話をふられた虎門は困り果てている。

「え、いや……おれにはもったいない話だと思うんで、あはは……」

「もー! 兄貴ってばノリ悪ーい!」

 たぶん初田と同じく、俗な話をふられるのが苦手なタイプだ。

 引きつり笑いで逃げようとする虎門に、仲間意識を覚える初田だった。

 ナナは初めて会ったとき「レンさんに憧れていた」と言っていたが、平也の隠していたことを知ってからは考えを変えたようだ。

「平也さんが命を奪うなんていう悪いことをしていたなら、かばえないよ。きちんと償ってくれるといいね」と遠くを見て寂しそうに笑う。