初田ハートクリニックの法度

 それから礼美にも戻ってきてもらい、コウキと礼美に治療法の説明をする。

 まず今必要なことを書き出す。

 睡眠時間の見直し。
 気持ちを整理する方法を身につけること。
 楽しいことを見つける。
 感情のままに行動しない。
 リラクゼーションの導入。
 要求を表に出すこと。
 嫌なことは嫌だと言うこと。
 相手の意見を聞くこと。

 そんなの当たり前だと言われそうなことがほとんどだが、これこそが大切なことなのだ。

「コウキくんは家での勉強と塾以外の時間を取っていないでしょう? だから、勉強の時間を少なくして、その分何もしない時間や運動の時間を作ろう」

 これまで一日何をして過ごしていたか真白な円グラフに書き込んでもらったら、食事風呂睡眠以外の時間は十数時間すべて勉強だった。

 これではあまりにも精神に悪すぎる。

 初田は緑のマーカーで夕方の時間帯の勉強を消し、そこに自由時間、と書きこむ。

「自由ってなにすればいいんだ。いきなり自由にしていいって言われても……」

 勉強しろと言われて育ってきたコウキには、『自由にしていい』が一番難しいことだった。