初田ハートクリニックの法度

「さて、ネルさん。今日はどこに行きましょうか」

「初斗にいさんと一緒に行きたい場所計画ナンバー14! おいしい手打ち蕎麦を食べられる店。食後に紅茶を楽しめるうえに、ネコちゃんもいるの。しかも二匹。おさわり自由なの」

「ネコちゃんのポイントが高いですね」

 動物大好きなネルにとって、食事とネコ同時に楽しめる店は楽園である。

「もうすぐネルさんの誕生日ですから、出かけるならネルさんのプレゼントも買いましょうか」

「じゃあケーキを乗せるラックがいい、先週行ったカフェでアフタヌーンティーしたでしょう。二段で、上下にケーキを乗せられるの。お茶会の時使いたい」

「かまいませんが、あれ、どこで売っているんでしょう……」

「探してみよう!」

 ネルは歌いながら初田の手を取る。

 今にも踊りだしそうなほど楽しげで、なんとも微笑ましい。

 商店街の人たちから「今日も仲良しねー」なんて声をかけられて会釈を返す。

 初田の顔を暴いてはいけないという法度(はっと)は、もうない。

 これからは自由に外に出て、ありのままの自分でいられる。
 初田は大切な人と手を取り合い、平穏な日常を生きていく。


 ケース4 虎門ケンゴの場合 ─失敗だらけのトランプ─ 終