初田ハートクリニックの法度

 テーブルに紅茶とせんべいを並べて、ネルが微笑む。

「そうだ、虎門さんもいかがですか。来週の日曜日、みんなで川辺に行ってお茶会をするんですよ。涼しくていい季候だから」

「え、おれも行っていいんですか? 先生たちのプライベートの行事じゃ……」

「はい。お向かいの店の人たちや、お世話になった人たちを呼ぶんです。パーティーは人が多い方が楽しいでしょう」

「おれはむしろお世話になっている側」

 恐縮しきりの虎門に、初田は笑いかける。

「まあまあ。ナナさんも呼んで行きましょう。就職祝いとでも思って景気づけに」

「え、は、はあ。先生もそういうのなら……おじゃまさせてもらいます」

 なかばごり押しで、虎門兄妹の参加も決定した。

 昨日はコウキにも話を振って、珠妃母子も来ることになっている。

 母親や白兎も呼んでいるので総勢十人超え。

 すごくにぎやかになりそうだ。

 虎門が最後の患者だったので、閉め作業をしてクリニックの扉にCLOSEの札を下げる。

 初田は懐中時計で時刻を確認して、ネルに微笑みかける。