初田ハートクリニックの法度

「普通の人なら、こんなときなんて言うんでしょうね」

「わからない。わからないけど、私は嬉しい。これで初斗にいさんが外に出られるんだもの」

「……そうですね。お茶会するって約束しました」

「お茶会以外のこともできるよ。私、にいさんと行ってみたい場所がたくさんあるの」

 初田のことを考えてわがままを言わなかっただけで、ネルの中では一緒に行きたい場所候補がたくさんあったらしい。

「ちなみに、ネルさんの行きたい場所ってどれくらいあるんですか?」

「んーと、百カ所くらい。花菜(かな)ちゃんがおすすめしてくれた服屋とか、アリスさんが教えてくれた喫茶店とか、白兎先生のおすすめの雑貨屋さんとか、とにかくたくさん。ノート十冊くらいに書きためてあるよ」

「それはまた、壮大な計画ですねえ。全部やり遂げたら達成感がすごそうです」

「そうなの、壮大なの」

 思いを確かめ合う前から、ネルは初田とずっと一緒にいるつもりだったのだとわかる。

 こそばゆいような、嬉しいような、温かい気持ちで胸が一杯になる。

「どこにだって、一緒に行きますよ。わたしもいろんなものを見たいです」

「うん」