初田ハートクリニックの法度

『嘉神容疑者はなぜ父親を殺したんだと思いますか』

 コメンテーターの質問に、初田は顔色を変えずに答える。

『やってみたかったからじゃないですか。兄さん、ネズミとかネコとか生き物を殺すのが趣味だったから。人間でもやってみたかったんだと思います。あとは純粋に、わたしに対する嫌がらせ』

『嫌がらせ、とは?』

『ほら、わたしたち双子じゃないですか。わたしは平也じゃないかと疑われて、なにもしていないのに出歩くたびに通報される生活だったんですよ。夢を諦めさせたかったんでしょうね。わたしが研修を終えるタイミングを見計らったかのように事件が起きたので』

 弟が惨めな生活することになるのも織り込み済み、そんなところまで正確に読んでいた。

 お前のやることは全部予測の範囲内。上から目線で言われているようで、無性に腹が立った。

 双子だからこそ、お互いの考えることがよくわかる。

 ビジョンに映し出された初田は笑顔を浮かべているが、目が()わっている。

 画面越しにいる平也に対する挑戦だ。

 初田の左手薬指にはめられた指輪が、鈍く光る。