初田ハートクリニックの法度

 初田はネルの肩を支え、助け起こす。

 ネルは泣きながら初田を責める。

「謝ったって許さないんだから。初音さんだって、初斗にいさんに何かあったら泣くよ。なんでにいさんはいつもいつも、自分のことをないがしろにするの」

 自分の命がどうでもいいと思ったことはない。

 けれど、そう評されても仕方ない。

 ネルに泣かれるのは、自分が怪我をするよりもずっと痛い。

 苦しくて、胸が痛い。

(歩にバカだと言われるわけだ。どうしてわたしは、ネルさんを苦しめる道を選んでしまったんだろう)

 どんなに平也を見つけたかったとしても、やめるべきだった。

 医師であることより、自分の感情を優先させてしまった。

「もうしません」

 泣き腫らしたネルの目が、信用ならないと言っている。