初田ハートクリニックの法度

「すみません」

「謝るならアタシでなく、ネルちゃんに謝りなさい」

「はい」

 帰りの電車の中、帰宅ラッシュもとうに過ぎているから車両には初田と歩しか乗っていない。

 初田は全て白状するしかなかった。

 平也が出入りしていた店のこと、何をして逃亡資金を得ていたか、そして、平也がクリニックに近い駅付近に潜伏している可能性があること。

「どうするのが正解だと思う?」

「そうね……。あんたやアタシたち、まわりのみんなに危険が及ばない方法があるとしたら、これよ」

 歩はスマホを操作して、とある画面を出した。

「一か八か、やってみる価値はあると思わない?」

「……それであぶり出せるなら、やります」

「そうこなくちゃ!」
 
 初田は歩の作戦に乗ることにした。

 これがうまくいけば、平也は逃亡を続けられなくなる。