初田ハートクリニックの法度

 電車に乗り込み新大久保駅で降り、改札を出てすぐのところにある避難経路案内看板の前に行く。

 ナナはもう先に来ていた。

「お待たせしてすみません、ナナさん」

「驚いた。先生って本当にレンさんと双子なんだね。声をかけてもらわなかったらレンさんだと思っちゃうよ」

「それはどうも」

 雲に乗る子供の壁画が描かれたガードをくぐると、賑やかな街に出た。

 ナナに先導され、パチンコ屋やカラオケ、韓国グルメの店が軒を連ねる通りを歩く。

 看板も日本語とハングル文字、英語が混在していて、行列をなす客たちも多国籍。

 あたりに並ぶ食事処のにおいが混じり合い、においだけでお腹いっぱいになりそうだった。

 電柱やシャッターは、至るところにスプレーで落書きがほどこされている。

 ネオンライトで照らされる立て看板はガールズバーや、夜の店の名が並ぶ。