初田ハートクリニックの法度

 怒号と共にふきんが飛んできた。

 お茶を吸ったふきんは虎門の肩に当たって床に落ちる。

「失敗しただけじゃここまで怒らねえ! 失敗したのに反省する様子も、反省を生かす様子もないから怒ってんだよ! お前自分が悪かったと思ってないだろ」

「……思ってます」

「思ってるなら同じこと言わすな。ったく。そんなんじゃお前どこ行っても通用しねえよ。一年以上の職歴が無い時点で、雇うのやめときゃよかった」

(早く終われこの時間)

 説教は一時間近くにわたり、仕事の時間よりこの時間のほうがよほど精神をすり減らした。

 帰りの電車に揺られながら、ぐるぐると頭の中で店長の説教がまわる。

 どこに行っても通用しない、一年以上の職歴が無い時点で雇うのをやめときゃよかった。
 
 怒声がいくつも刺さって痛みが消えない。

(健常者なら、今日の仕事もうまく立ち回れるのか。やっぱりおれ、駄目なんだな)