初田ハートクリニックの法度

 4番テーブルを片付けるため走り、もう一人のホール担当のバイトとぶつかった。

 入ってまだ一ヶ月の女子高校生、小森だ。

 小森はふらついてオレンジジュースをこぼした。

 グラスが砕ける音がして、席にいたサラリーマンが飛び退く。

「なにしてくれてんだ! スーツに飛んだだろ! クリーニング代弁償しろ!」

 小森が急いでふきんと取ってきて、サラリーマンの裾を拭う。

 虎門はとにかくグラスの破片を拾おうとして店長が怒鳴った。

「素手で拾うな! 掃除用具入れからゴム手袋を取ってこい」

「すみません、ええと、はい!」

 グラスの破片を片付け、スーツのクリーニング代は虎門が持つことでなんとか許してもらえた。