初田ハートクリニックの法度

 翌日出勤し、虎門は店長に睨まれてすくみ上がった。

「病院に行くって行っていたよな虎門。昨日はどうだったんだ」

 虎門と五歳しか年齢が違わないが、どうにも偉そうな男だ。

 自分より年上だったり、勤務歴が長い社員相手には丁寧語を使う。

 しかし、年下や女性には上から目線であたりが強い。

 来週で試用終了になることが決定しているのに、なぜプライベートに踏み込んでくるのか虎門には理解できない。

 口答えするなと言われるのは目に見えていたから、虎門は当たり障りのない範囲でだけ答える。

「安定剤を処方されて、昨夜飲みました」

「それ飲めばもうクソなミスしなくなるわけ?」

「……わかりません。合うかどうかは飲んでみて少しずつ量や種類を調整すると主治医が言っていたので」

「治らないならなんのために病院に行ったんだよ」

 唾を飛ばす勢いで、店長が虎門をなじる。

 初田は体質によって人それぞれ合う薬が違うと言っていた。

 効果が実感できるようになるまで早くても二週間。