秀樹は息子が笑うところを初めて見た。
「な、にを、している、やめろ!」
「なんで?」
怒られている理由が一切理解できないという顔をしている。
「殺すために毒餌の罠を仕掛けたんだよな。なら殺してもいいはず。初田先生が、猫を殺すのは法律で禁止されているって言った。殺すために捕まえたネズミを殺して何が悪いんだ」
「あ、う」
コウキは抑揚のない声で、おぞましいことを口にする。
毒餌のネズミ取りを仕掛けているのは確かだし、死ぬ過程が異なるだけで殺すことにはかわりない。
理論上は間違ってはいない。
だが、自ら手を下すか、放置した罠の毒を食って死ぬかは、同じようでいて違う。
秀樹は、コウキの凶行を止めるための正しい言葉を持っていなかった。
ーーあなたは崖っぷちに立っているコウキくんの背中を押そうとしている。
コウキはまたネズミ取りに手を突っ込み、ネズミの首をきつく握りしめる。
秀樹の寝間着のズボンが湿っていく。
トイレに行くため階下に降りたことなど、頭の中から抜け落ちていた。
「な、にを、している、やめろ!」
「なんで?」
怒られている理由が一切理解できないという顔をしている。
「殺すために毒餌の罠を仕掛けたんだよな。なら殺してもいいはず。初田先生が、猫を殺すのは法律で禁止されているって言った。殺すために捕まえたネズミを殺して何が悪いんだ」
「あ、う」
コウキは抑揚のない声で、おぞましいことを口にする。
毒餌のネズミ取りを仕掛けているのは確かだし、死ぬ過程が異なるだけで殺すことにはかわりない。
理論上は間違ってはいない。
だが、自ら手を下すか、放置した罠の毒を食って死ぬかは、同じようでいて違う。
秀樹は、コウキの凶行を止めるための正しい言葉を持っていなかった。
ーーあなたは崖っぷちに立っているコウキくんの背中を押そうとしている。
コウキはまたネズミ取りに手を突っ込み、ネズミの首をきつく握りしめる。
秀樹の寝間着のズボンが湿っていく。
トイレに行くため階下に降りたことなど、頭の中から抜け落ちていた。


