初田ハートクリニックの法度

 案内所のインフォメーションボードには近隣のイベント情報や駅構内のテナントの求人が載っていて、クリニックのある商店街のお祭告知ポスターも貼られている。

 そして、虎門が働いているレストランの求人も貼られている。

 他にも十八歳から三十代くらいまで、という年齢制限の厳しい服屋から、十六歳以上から六十歳まで元気な方募集というラーメン屋まで様々だ。

 六月末で契約終了が決まっているから、早く次を探さないと生活が立ちゆかなくなる。

 妹に生活費を借りるなんて真似、兄としてできるわけがない。

(接客、もうお客さんの前で怒鳴られるのは嫌だな。でも駅ナカって接客業しかない。スーパーの品だしなら接客しなくていいか? ああ、でも初田先生が就職時には障害のことを伝えるべきだと言ったな。おれ、障碍者だったんだな……)

 認めたくはないけれど、何度言われても頭の中が真っ白になって焦ってしまい、教わったはずのことがわからなくなる。マニュアルにないことができない。

 機転を利かせるなんて器用なことができないし、注文と違うものを運ぶこともあって、何度も客を怒らせて店にクレームが入った。

 自分は障碍者に位置する人間であること、納得する気持ちと、認めたくない気持ちがない交ぜで、悲しいのか悔しいのかわからなくなる。