松葉杖をついた女性もまた、空を見上げている。
左足が太ももまでギプスで固定されていて、左腕も包帯が巻かれている。
つばの大きなキャップをかぶってマスクをしているため顔は分からないけれど、傘を持っていないのは見て分かった。
「はぁ、最悪……」
女性はつぶやいて、松葉杖を持つ右手を器用にショルダーバッグに入れ、スマホを取り出す。
「アリス。駅まで来たんだけど雨が降ってきちゃったの。ちょっと傘持ってきてよ。……は? 無理? 来てくれてもいいじゃない。ここまで近いんだから、十分くらい仕事抜ければ来れるでしょ。……タクシー拾えって、それが姉への態度なの?」
なにやら電話の相手と言い合いになっている。
電話を切ってから深くため息をついてスマホをバッグにしまう。
虎門に気づいて声音を変えた。
「私は見世物じゃないんだけど。怪我人がそんなに珍しい?」
声は綺麗だが言葉がとげとげしい。バイト先の先輩を思い出して左胸が痛む。
「す、みません」
急いで駅に走った。
左足が太ももまでギプスで固定されていて、左腕も包帯が巻かれている。
つばの大きなキャップをかぶってマスクをしているため顔は分からないけれど、傘を持っていないのは見て分かった。
「はぁ、最悪……」
女性はつぶやいて、松葉杖を持つ右手を器用にショルダーバッグに入れ、スマホを取り出す。
「アリス。駅まで来たんだけど雨が降ってきちゃったの。ちょっと傘持ってきてよ。……は? 無理? 来てくれてもいいじゃない。ここまで近いんだから、十分くらい仕事抜ければ来れるでしょ。……タクシー拾えって、それが姉への態度なの?」
なにやら電話の相手と言い合いになっている。
電話を切ってから深くため息をついてスマホをバッグにしまう。
虎門に気づいて声音を変えた。
「私は見世物じゃないんだけど。怪我人がそんなに珍しい?」
声は綺麗だが言葉がとげとげしい。バイト先の先輩を思い出して左胸が痛む。
「す、みません」
急いで駅に走った。



