初田ハートクリニックの法度

「抵抗があるかもしれませんが、必要なことです。対人コミュニケーションがとても苦手でしょう。相手の望むような臨機応変な対応ができない。抽象的な言葉をくみ取れない」

 指摘されて、虎門は反論の言葉を飲んだ。

 これまで数多のバイト先で言われたことそのものだ。

「新しい職場を見つけたとして、パニック症状を起こしたら、精神科通院のことを話さなければいけなくなります。そうなると職場の人は虎門さんを責めるでしょう「なぜ面接の段階で言わなかった」って」

 怒鳴られてクビになるまでが用意に想像できてしまい、虎門は初田の顔を見ることができなかった。