初田ハートクリニックの法度

 少年みたいに屈託ない笑顔で、ネルに触れる。

 ひんやりした手が、ネコをなでるようにネルの頭や背中をなでる。

 くすぐったいしはずかしいし、でもふらふらの初田を突き放すなんてできないし。

 ネルはいっぱいいっぱいになった。

 二階に上がるのは無理なので、肩を貸して、クリニックにある仮眠室に連れて行く。

 かなり疲れているみたいで、初田はすぐ眠りについた。

 室温を保つため、オイルヒーターの電源を入れる。

 医師がこんな状態では新患の応対もできないし、ネルはクリニックの玄関にCLOSEの札を下げ、初田の体調がよくない旨を書いて貼った。

 今日はもう予約の患者がいないのが救いだ。