初田ハートクリニックの法度

 初田がリナの手術のために血液を提供した日。

 初田はふらふらの状態で帰宅した。

 病院に向かう際は車だったけれど、運転できる状態ではないと本人が判断して運転代行サービスを利用して帰ってきたのだ。

『初田先生、お姉ちゃんを助けて』

 数時間前アリスが震える声で電話をしてきて、リナが事故に遭ったことを知った。

 運が悪いことに、同日早朝に大けがをした患者が運び込まれていて、その人もまたAB型だった。

 リナに輸血するには、病院の血液在庫だけでは足りなかった。

 ネルが電話応対しているのを聞いてすぐに病院に駆けつけ、今に至る。

 初田はおぼつかない足取りで、玄関扉をくぐった。

 運転代行の人が帰ってすぐに布マスクを取り、深くため息を吐く。

 顔は青白く、呼吸も荒い。