初田ハートクリニックの法度

「え? あの、あたし履歴書持ってきてないし、バイトでも面接ってするもんじゃないんです? それに、いいんですか。腕の、傷が」

「いくらでも嘘を書き込める紙切れに何の意味があるのよ。アタシは、自分の目であんたという人間を見て、大丈夫そうだと思ったから店番を任せる話をしているの」

 初田が変わり者だと言うだけはある。

 面接に行ったなら、履歴書を見て中卒であることやバイト歴がないことを指摘してくる。

 そしてアリスの腕の傷を見て採用をためらうだろう。

 そういうものを一切見ないで雇うと即決した。

 見た目だけでなく、心の在り方もあまりにも鮮烈。

 アリスは脳内で情報の処理が追いつかなくなっている。

「初斗が連れてきたんなら大丈夫でしょ。それにアタシ、磨けば光る原石って大好きなの。時給は1100円で足りるかしら」

「そんなにもらっていいんですか」

 このあたりの平均時給は、フルタイムパートでも900円。

 1000円以上出すなんて破格も破格だ。