初田ハートクリニックの法度

「いらっしゃい。初斗が来るなんて珍しいこともあるわね。どうしたのよ」

(あゆむ)。バイトが欲しいと言っていただろう。この子を雇ってくれ。ーーアリスさん。この人は蛇場見(じゃばみ)(あゆむ)。わたしの旧友で、この店の店長だ」

 歩は初田の高校時代の元同級生。

 瞳はカラーコンタクトで、右が青・左が紫になっている。

 身にまとうのはチャイナ服。

 ライトブルーに染められたロングヘアは、毛先に行くにつれ紫にグラデーションしている。

 右サイドの髪は青いエクステをつけていて、三つ編みになっている。

 とても鮮やかで、例えるなら熱帯魚のよう。 

 初田に促され、アリスはガチガチに硬直しながら頭を下げる。

「はじめまして。有沢アリスです」

「アリスちゃんね。アタシは歩。名字で呼ぶのはやめてね。ダサくて嫌いなの」

「歩さん」

「それでいいわ。アリスちゃん、あんたレジ使ったことある?」

「いえ、働いたことなくて」

「じゃあ教えるから覚えなさい。週何日来れる? あんたが店番をしてくれれば、商品探しの旅をしている間も店を開けておけそうね」

 もう採用が決まっているかのような流れに、アリスの目が点になった。