初田ハートクリニックの法度

 初田はアリスとコウキをつれて、クリニックの向かいにあるセレクトショップに向かった。

 ショーウィンドウにアジアンテイストな民族衣装や雑貨が並び、くるみ割り人形やマトリョーシカも置いてある。

 店主が旅先で気に入った物を仕入れているのだ。

 玄関先に英語で【ワンダーウォーカー】と書かれた手作りの木製立て看板が置かれていて、扉にはOPENの札が下がっていた。

「よかった。今日はいるみたいだ」

「今日はって、どういうこと?」

「店主はたまに商品探しの旅に出るから、いないときは二週間くらい閉まっているんだ」

 コウキの質問に答えながら、初田が扉を引くとお香の独特な香りが漂ってきた。

 芳香剤ではなく、インドあたりで売られている香草で作られたもの。

 スーパーなどではまず見かけることのない珍品の数々を目にして、コウキは興味津々で商品棚に張り付いている。

 カウンターにいた長身細身の男は、初田に気づくと笑顔になった。