初田ハートクリニックの法度

 無理に同じになろうとしなくてもいいよ、なんて、そんな言葉を求めてはいないだろう。

 コウキはどうしても同じものを見て、普通を感じ取れるようになりたいんだ。

 アリスとは違うけれど、どこか似ている。

「そうだね。あたしも、普通に生きられたらいいのに」

「アリスは普通じゃないの?」

「なにをもって普通って言うのかわからないけど、あたしも違う生き物な気がする」

 アリスは空を見上げる。

 視界の片隅に雲がみえる。

 風に流されてどんどんと形を変えていく。
 
 いつもいつも、リナの引き立て役で、アリス自身の価値はなんなのか見いだせない。

 必要としてくれる人なんて一人もいない。

 親ですら要らないと言って放り出した。

「あたしの価値ってなんなんだろう」

「それは、アリスが決めればいいんじゃないかな。だってアリスなんだから」

 意味がわらかなくて、アリスはコウキを見る。

 口下手なりに精一杯考えを言葉にしようと、コウキは身振り手振りをくわえて説明する。