「意味のないことをする時間を一切与えず、勉強だけ押し付け虜囚のような扱いをする……だから、虫殺しを咎める友だちの一人も作れなかったんだ。中村さん。コウキくんが猫の首を刈りとったとき、理由を聞きましたか? 一方的にコウキくんを責めて殴ったのでは?」
無言。それは肯定だ。
「ゲームや漫画、アニメ、友だちと遊ぶ時間を一切与えられなかったコウキくんにとって、首を刈るのは娯楽だったんだ。虫や野良猫を捕まえて首を落とす。それに、殺す生き物に明確な基準がある」
秀樹がゴクリとつばを飲むのがわかる。
「要るか、要らないか。その二択だけ。貴方の教育方針は、コウキくんを最高にたちの悪い赤の女王に育て上げた。中村さんは、心のない人間を育てる天才だ」
これがどれだけ脅威なのか、秀樹は理解しているだろうか。
「コウキくんはね、問診のときに「野良猫は誰のものでもないから殺していい、殺すのは楽しい」と、そう言ったんです。その価値観を正してあげないと、この先も、要らないと判断したモノの首を落とす。きっと次に狩る不要品はーー」
父との思い出は全くなく、顔を合わせるのも極わずか。
家族と認識しているのは、毎日ともに暮らしている礼美だけ。
「中村さんでしょうね」
トランプタワーが崩れ、静かな診察室の中に飛び散った。
無言。それは肯定だ。
「ゲームや漫画、アニメ、友だちと遊ぶ時間を一切与えられなかったコウキくんにとって、首を刈るのは娯楽だったんだ。虫や野良猫を捕まえて首を落とす。それに、殺す生き物に明確な基準がある」
秀樹がゴクリとつばを飲むのがわかる。
「要るか、要らないか。その二択だけ。貴方の教育方針は、コウキくんを最高にたちの悪い赤の女王に育て上げた。中村さんは、心のない人間を育てる天才だ」
これがどれだけ脅威なのか、秀樹は理解しているだろうか。
「コウキくんはね、問診のときに「野良猫は誰のものでもないから殺していい、殺すのは楽しい」と、そう言ったんです。その価値観を正してあげないと、この先も、要らないと判断したモノの首を落とす。きっと次に狩る不要品はーー」
父との思い出は全くなく、顔を合わせるのも極わずか。
家族と認識しているのは、毎日ともに暮らしている礼美だけ。
「中村さんでしょうね」
トランプタワーが崩れ、静かな診察室の中に飛び散った。


