初田ハートクリニックの法度

 診察当日。

 約束通り、アリスは皐月と一緒に来院した。

 受付にいたネルは、笑顔で保険証と診察券を受け取る。

「えへへ。おまちしておりましたアリスさん~」

「あのさ、病院で歓迎されるのってなんか違う気がするんだけど」

 ネルがいそいそと、ストリート系ファッション雑誌を取り出す。

 どれだけ勧めたい服があるのか、雑誌のあちこちからネコ耳ふせんがこんにちは。

 その中の一着を指さして、興奮気味に語る。

「前回お会いしたとき、アリスさんにこのジャケットが似合いそうだなって思ったの。ほら、アリスさんは目元が凜々しい感じでしょう」

 かっこいいなんて言われたのは初めてのこと。

 ネルの目がどうにかなったのかと疑った。

「……かっこいい? あたしが?」

「はい。あ、雑誌どうぞお持ちになってください」

 気圧されるまま雑誌を受け取った。