初田ハートクリニックの法度

「あたしは初田先生が不細工でもいいよ。あの人なら信用してもいい気がする」

「私はアリスのためを思って言ってあげているのに」

「あたし、もう二十二だよ。誰を信じるかは自分で決めるから」

 それだけ伝えて、アリスは自室にこもった。

 これまでの病院でもらった薬をまとめてゴミ箱に突っ込む。

 有人とリナと言葉を交わしたときは不快で苛立っていたのに、今は不思議と気分が落ち着いている。

 ーーアリスのために言ってあげている(・・・・・)

 リナはいつもそう。

 親切を押し売りしてくる。

 アリスは一度だって、リナについてきて欲しいなんて頼んでいない。

 リナが勝手についてくるだけ。

 初田に「お姉さんのこと苦手なんじゃない」と聞かれたとき否定してしまったけれど、今ならハッキリと言える。

 アリスは、姉のことが苦手だった。