初田ハートクリニックの法度

 有人が「家からの距離も近いし県立だから学費も安い、だからリナと同じ高校を受験しろ」と言って譲らなかった。

 皐月も、「姉妹で同じ高校に通ってくれたら嬉しいわ」なんて言う。

 中学で散々比較されて嫌な思いをしたというのに、同じ高校になんて入学したら、また馬鹿にされる。

 そんなのご免だ。

 だから、試験は全て白紙で提出した。

 アリスの気持ちを理解しようとしない両親に対しての、反抗だった。

「お父さん、あまりアリスをいじめないで。アリスだってアリスなりにがんばっているのよ」

 有人を止めに入ったのはリナだった。

 仕事に行くときに使うバッグを肩にかけている。

「それにお父さん、もうすぐ出勤時間でしょう。早く着替えて準備しなきゃ。ね?」

 この時点でスーツになっていなかったら、いつも乗る電車にギリギリ間に合うかどうかと言ったところ。

 有人はまだ何か言いたげにしながら自分の部屋に戻っていった。

 その背中を見ながら、リナはアリスに声をかける。