初田ハートクリニックの法度

 まだ両親が離婚していなかった頃、平也は初田にいつも言っていた。

「俺と同類のくせに、良い子のふりしやがって。自分は平也と違ってまともですとでも言いたいんだろ。ほんと、死んでほしいくらいむかつく」

 良い子のふりではなく、迫害されないよう一般人の常識に合わせて生きているだけ。

 平也はそんな初田のことを毛嫌いした。

 そして初田も、平也の言動を不快に思っていた。

「それはよかった。ぼくも兄さんのことなんて大嫌いだから」

 両親の離婚が決まったとき、母について行くと決めた理由はただ一つ。

 平也が父について行くと言ったからだ。

 平也が母についていくと言ったなら、父について行った。

 双子って一緒にいることが多いんでしょうとか、仲がいいんでしょうと、よく聞かれたがとんでもない。

 初田は平也のことを心底嫌いだった。

 平也の言葉を借りるわけではないが、消えてほしいと思うほど嫌いだ。