初田ハートクリニックの法度

『わかったか!!!!』

 秀樹がようやく言いたいことを全部言い終えたのか、散弾が止まった。

 この三十分間に初田は紅茶のポットを二つ空にしている。

「そうですね、中村さんが天才だということは理解しました。コウキくんがああ(・・)なったのは、紛れもなくあなたの英才教育の賜物です」

『そうだろう、コウキは毎回学年三位以内。小学一年の頃から毎日進学塾に通わせたからな』

 秀樹は電話の向こうで上機嫌だ。

 言葉の表面しか捉えられない、勉強ができるだけの頭でっかちのド阿呆。

 初田が放たれたガトリング砲に負けないくらい最大の皮肉で言ってやったのに気づいていない。

 タワーの六段目のてっぺんを作りながら、初田は秀樹に聞く。

「コウキくんはどうしていますか」

『どうせ二度とそこに通わないんだから、お前に関係ない』

「患者の経過観察とケアをするのが医師の役目です」

『もうお前の患者じゃない。病院なんかで潰す無意味な時間があったら受験勉強してもらわないと』

 一度も顔を合わせたことのない他人の初田にここまで高圧的な発言ができるのだから、身内の礼美とコウキも普段からこれにやられているのは想像にかたくない。