初田ハートクリニックの法度

「その、顔」

「今、嘉神平也だと思ったでしょう? 残念ですが違います。わたしは初田初斗。ここ初田ハートクリニックの院長。この顔のせいで、あの事件以降の九年でさんざん石を投げられてきました。わたしがなにもしていないのに、人はわたしと平也を同一視して罵る」

 笑顔を浮かべて、初田は一礼する。

「わたしはそれしきのことで傷つくたまではないので無問題です。アリスさん。迷いの森から抜け出したいと思うのならば、この手を取りなさい。わたしが必ず、暗闇の外に導きましょう」