初田ハートクリニックの法度

「おにぎりもちゃんとお米を選んでいるんですよー。今日のお米はキタアカリちゃんです。キタアカリちゃんは甘みがあって美味しいですよね。明日はコシイブキさんです」

「あ、そう」

 初田は見るからに変人だが、受付のネルもだいぶ変な人だと、コウキは口には出さず思った。

 診察室の扉が開く。

「コウキくん、お母さんとの話は終わったよ。おいで」

 初田に手招きされ、コウキは大量のお茶から逃げることができた。

 コウキが礼美の隣に座って早々に、初田はティーカップを出してくる。

「書き物机とカラスが似ているのはなぜなのかわかるかい」

「答えのない、意味のないナゾナゾで時間をつぶすのはどうなの」

 これもまた絵本に出てきた台詞だ。

 コウキの答えに気を良くしたのか、初田はクックッと笑う。

「潰すなんて言ったら時間さんに失礼じゃないか。ーーいつかわかるときが来るよ、コウキくん。意味がないことに意味があるのさ」