初田ハートクリニックの法度

 新しいクラスになって二週間、初めて人と会話をした。

 ネル以外のクラスメートは部活グループが形成されている。

 三年生になってからそこに溶け込むというのは、ハードルが高かった。

「根津美さん、一緒にバスケしようよ」

 昼休みになると同時に、同じクラス女子がネルに話しかけてきた。

 昨日、ネルが昼休みに寝ていてズルいと言っていたグループだ。

「無理です」

 ネルは鞄を持って、いつも通り保健室に向かおうとした。

 お昼は保健室で先生と一緒に食べている。

「根津美さんいつも寝てばっかりだから運動不足だと思うんだよね。動いた方がいいって。あたしら善意で言ってあげてるんだからね」

「無理です」

「善意を否定するってひどくない?」

 一対四ではどうしても分が悪い。

 断るネルのほうが悪役のように言われてしまって、ネルは黙り込んでしまう。

「断っている人間に無理強いする方がひどくないか」

 東堂が四人に物申した。

 ネルは助け船に心から感謝したが、四人はそれでよしとしてくれなかった。

「東堂はひっこんでなよ。これはあたしらの話なんだから。根津美さん行こ行こ」

 なす術もなく体育館にいくことになり、バスケットボールを押しつけられる。